性別や肩書に関するアンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)が、女性経営者や女性後継者の可能性を狭めていることをご存じですか?
一般社団法人日本跡取り娘共育協会(跡取り娘.com、代表理事:内山統子、小林博之)は、中小企業経営者と事業承継予定者を対象にアンコンシャスバイアスに関する意識調査をエヌエヌ生命保険株式会社(代表取締役社長:マリウス・ポペスク)と連携して実施し、一般社団法人事業承継学会の年次総会(2023年12月9日開催)で「女性事業承継におけるアンコンシャスバイアスに関する現状と課題」と題して調査結果を発表しました。
意識調査では、直近1年で自身に対するアンコンシャスバイアスに基づく言動があったかどうかについて、回答者の約6割が「ある」と回答しました。
特に「仕事内容や仕事のしかた」「家族」「経営者としての資質」などの話題でアンコンシャスバイアスに基づく言動があり、「後継者は男性がふさわしい」「女性経営者は資質に欠ける」「家庭のことは女性に」といった社会における思い込みが根強いことがうかがわれました。
こうした思い込みの存在が女性経営者・後継者の活躍を妨げ、社会的損失を招いています。
具体的には、「女性に経営者が務まるのか?」といった思い込みが、①経営人材としての育成プロセスにおいて女性が不利な立場に置かれる ②女性というだけで取引先などから信頼されづらい――という状況を生み出します。さらに、そうした状況が女性経営者や女性後継者ら本人たちにも影響し、③経営者として自信を持てない ④家庭のことが気がかりで仕事に専念するわけにはいかない―-といった意識を植え付けていると考えられます。
日本跡取り娘共育協会は2024年1月12日午後2時から、今回の調査結果に関するオンライン報告会を開催します。参加を希望される方はhttps://atotorimusume0112.peatix.com/からお申し込みください。当日は、女性経営者・後継者との意見交換の時間も設けます。
取材を希望する報道関係者は、事前に事務局までご連絡ください。
【調査結果】
意識調査は2023年9月、日本跡取り娘共育協会とエヌエヌ生命が連携し、インターネットを通じて実施しました。回答者数は205名(男性103名、女性102名)でした。(うち、日本跡取り娘共育協会会員等へのアンケート回答者:女性64名)
まず「アンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)について知っていますか?」との質問には、回答者の33%が「言葉やその概要を説明できるぐらい知っている」と答えました。「言葉やその概要について聞いたことはある」との回答が31%で続き、女性経営者・後継者の約3人に2人が、アンコンシャスバイアスについて意識していることが分かりました。なお、「全く知らない」は25%、「言葉だけ聞いたことがある」は11%でした。
※この質問は跡取り娘.com登録会員ら64名の女性経営者・後継者について独自集計
「説明できるぐらい知っている」「聞いたことはある」との回答者(151名)に、「直近1年でアンコンシャスバイアスに基づく言動を受けたことがあるか?」と質問したところ58%が「ある」、41%が「ない」と回答しました。
「ある」との回答者に、その言動がどのような話題に関するものなのか複数回答で答えてもらったところ、女性経営者・後継者の間で多かったのは「仕事内容、仕事のしかたに関する話題」(57%)、「家族に関する話題」(62%)、「経営者としての資質に関する話題」(32%)「プライベートの過ごし方に関する話題」(32%)--の順になりました。
「仕事のしかた」「家族」「経営者としての資質」「プライベート」が、女性経営者・後継者にとってアンコンシャスバイアスにさらされたと感じることの多い話題であることが分かります。
※この質問は跡取り娘.com登録会員ら64名の女性経営者・後継者について独自集計
回答者にアンコンシャスバイアスを感じる言動の例をあげてもらったところ、「後継者は男性という思い込み」「女性経営者を低く見る思い込み」「家庭のことは女性にという思い込み」の3つに類型化することができます。
アンコンシャスバイアスに「会社として対応することで、自身や周囲にとって、どんな効果が得られるかと思いますか」との質問について、跡取り娘.com登録会員である女性経営者・後継者の回答(複数回答)を独自に集計したところ、過半数が「ビジネスでの良好な関係構築」「働きがいのある職場の構築」「働く意欲の向上」につながると考えていました。
女性経営者・後継者はアンコンシャスバイアスを解消していくことに意欲的であり、大きな利点を感じていることがうかがわれます。
アンコンシャスバイアスの解消は、政府が2023年6月にまとめた「女性版骨太の方針」にも重要課題として取り上げられ、政府としても取り組みを強めていく方針が打ち出されています。
跡取り娘共育協会は今回の意識調査を通じ、社会全体でのアンコンシャスバイアスを解消し、性別の差なく活躍できる会社創りを進め、企業の永続的発展を実現していくためには、「女性経営者・後継者を増やす」ことが効果的な方法だと考えています。
具体的には、女性が会社経営を担える環境整備、女性による起業・事業承継支援、先代経営者世代の意識・行動改革が必要であり、男性が経営を担う会社においても経営者自身の意識・行動改革が求められることは言うまでもありません。
今回の調査結果やオンライン報告会の詳細、跡取り娘共育協会の活動について、ご質問のある方は事務局までお知らせください。
【「一般社団法人日本跡取り娘共育協会」について】
当協会は、第5次男女共同参画基本方針における「誰もが性別を意識することなく活躍でき、指導的地位にある人々が性別に隔たりがないような社会になることを目指す」を実現するため、女性事業承継者(経営者、後継予定者等)に対する支援を行う団体です。女性後継者や女性経営幹部への調査依頼が可能です。