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インタビューinterview

2019.06.21

リーマンショックから跡取り娘になり、ハワイでポジティブに

跡取り娘インタビュー Vol.6 関東サービス株式会社 代表取締役 八巻千花さん

関東サービス株式会社 コーポレートサイト

―今回は物流アウトソーシング事業を営む、関東サービス株式会社、代表取締役の八巻さんにお話を伺いました。本日はよろしくお願いいたします!まずは業務内容について教えてくださいますか?

1985年に父と母が共同経営者と浜松町で創業し、倉庫内作業請負を始めたのがスタートです。その後いろいろあって共同経営を解消しましたが、順調に売り上げは伸びていました。 でも2008年のリーマンショックで売り上げが4割落ち、私はそのタイミングで引継ぎました。22歳で結婚し結婚15年目のことです。 主人を専務として、妹、いとこ、幼馴染も立ち上げ当初から関わっていて、色んな人に支えてもらいながら経営をしています。

信頼できる方たちに囲まれて安定した組織体制ですね!
子育ての真っ最中で、事業も大変な時に継がれたわけですが、継ぐことにためらいはありませんでしたか?

「女性が代表だと色々とあるし、このタイミングでは事業を継がせられない」という話もよく聞きますが、私はタイミングっていつなのだろうって思います。
私が継いだ後、父は経営について一切口出しをしてきませんでした。父が背中を押してくれていたので、とても安心感がありました。私自身もいつか継ぐものだと考えていたので、ためらいはありませんでした。

日本中が、リーマンショックで経済的にも、気持ち的にもとても落ち込んでいる時に、家族で一度ハワイに行ったんです。家族全員で旅行に行けるのも最後かもしれないなとか思いながら。。
結果、一番影響を受けたアメリカ国内なのに、まるで独立国家みたいに、ハワイが本当に明るくて力をもらいました。大変な時に継いだけれども、考えていてもどうしようもないなと開き直れました。
会社を存続させたい、どうしたらいいか、と、暗い感じに毎日そればかり考えていましたが、いざとなっても命までとられない!ハワイの人たちのようにポジティブに!私が考えてもなるようにしかならない!と切り替えられたのがよかったです。

あと、以前、固定費が払えないほどの危機があったみたいで、父がまたそうならないために備えてくれたのが助かりました。オレたちが一番固定費がかかるから、と両親が率先して退いてくれた事で会社も少し危機から脱し、先見の明があった両親を本当に尊敬しています。

―素晴らしいお父様の采配ですね。素晴らしいご両親のバトンタッチがありましたが、難しかったことはなんでしょうか?

やっぱり、9割男性なので、管理者や現場から女についていけるか!という言葉も聞こえていたし、ほぼワンマン経営で行ってきていた父親とのギャップは感じました。
だけど、ついて来てもらうしかないから、「言いたいことはわかりました。でも今は私が代表ですからついてきてください。」と。
あとは、様々な交流会や勉強会にも必死で出席していました。無駄かもしれないと思いつつ何かしていないといられなくて。でも結果的にそこでの人脈のおかげで知見もすごく広がったと思います。

―必死に頑張って来られたのですね。着実に経営者として成長される中で、変えたこと、変えなかったことは何でしょうか?

ビジョンや、経営計画は改めて作りました。うちは何を大切に経営しているの?というと、人々を大切にしたいという思いなんです。
うちの中途採用は、他社で不採用になってしまった人も、健康でやる気があればどんどん採用していました。
転職を繰り返し、他社ではうまくいかなくても、ビジョンに共感してくれていれば、頑張ってくれたらいいな、と思いながら。

一方で2014年から大学生の新卒採用をチャレンジすることにしました。うちのような小さい会社で大卒なんて無理に決まっている、という周囲の大反対を押し切り、大卒を採用し始めた事で、任せられることが増え、現場の雰囲気もとても変わって来たのを実感しています。

あと、社長になり行ったことは、とにかくしっかり見てもらおうということです。決算書も誰が見ても分かりやすいように会計事務所も変更しました。
赤字を出したのも引き継いだ時だけで、そこからは回復して来ています。
物流業界って横の繋がりが強いので、我々の営業がうまく行ったというより、一つ一つの対応をしっかりすることで、ご紹介に繋がり、それが段々と契約に繋がりました。

―時代に応じて変化されて来たのですね。八巻さんの自分なりの仕事術は何でしょうか?

細かいことには口を出さないことを心がけています。
みんなにはやりたいことをやって欲しいし、仕事を楽しみながら主体性を持って仕事をして欲しい。

昔は組合色が強い時代もありました。従業員同士で横のつながりができないように、あえて接点を持たせないようにしていた時代もありました。
が、今は時代が違うので、各現場の管理者に研修制度を積極的に導入し、それぞれの個人の力も伸ばすようにしています。
うちを辞めて他所に行っても、自分で動ける人になって欲しい。そう思っています。

あとは、私は大雑把なので、社員に対してのきめ細かな心配りやマネージメントを妹や幼馴染の社員にサポートしてもらっています。足りないところをうまく補ってもらってとても助かっています。それは父が母にサポートされていたように、です。

―ありがとうございます。役割分担をしながら、マネージメントしているのですね。最後に、八巻さんの今後の展望をお聞かせください。

これからの事業展望は、人がしてる作業がどんどん機械化されていくでしょうから、その流れでどのように動いていくかというところがカギだと思っています。それは慎重に考えています。
また、外国人人材に活躍してもらう仕事を検討しています。

これから事業承継を行う女性の方々へのメッセージは何かありますか?

女性だからということは関係なく、誰でも「できる」と信じて動いていくこと。
私は現実主義なので、どういう段階で継ぐかということも大切なのかもしれませんが、どうやったらできるかを一人で悩むのではなく、周りの人からどんどんヒントをもらえばいいのではと思います。

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