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インタビューinterview

2019.09.25

ファン作りは入口から。私らしい新スタイルのお店作り!

跡取り娘インタビュー Vol.7 株式会社三益 代表取締役 東海林 美保 さん(後半)

店内に所狭しと並ぶ銘柄の数々

前半は三益酒店の成り立ちから、美保さんが三益バーでの成功体験をご実家で始めるところまでご紹介しました。後半は美保さんを中心に、女性ならではのアイデアでお店のブランドを作り出すことからご紹介します。

株式会社 三益

ある勉強会で物事はなんでも「入口が大事」だと聞いた事がきっかけになりました。 ただ、修繕には何千万もかかるというので、その時は入口を整えてのれんをかけるだけだったのですが、次にロゴが大事だと言われたので、ずっと習字をやっている母に字を書いてもらうことになりました。 デザイナーさんに格好良く書いてもらうよりも、母の字を見本に作ってもらったほうがストーリーになるしいいなと思って。益が三つで三益というロゴです。ロゴができると包装紙ができたり、お猪口ができたりと展開し始めました。

見せて頂きましたが、お母様の字と合っていてすごく素敵ですね。

東海林さん:うちに来る人はみんなお酒が好きなのですが、酔うためのお酒というよりは地酒が好きで三益が好きで買ってくれます。 その考えでお客様にお猪口を持ってくれば一杯サービスということを始めたのです。そうすると一杯で帰る人はおらず、売り上げにもつながりました。 次にみんなで仕事をするときに被る帽子を作り、それが評判になり、お客様にも販売してつながり。誰がスタッフで誰がお客様かわからなくなってしまうので、紺、緑、エンジとカラーバリエーションを作りました。 「入口が大事」という事をきっかけに三益のファンができた事がありがたかったです。

店内に書かれたお客様や業者の方の三益酒店へのメッセージ

お話を聞いていると熱意と情熱と経営者としての成長が初めの頃と比べてすごいですね。会社を継ぐ覚悟はどうやって生まれたんですか?

東海林さん:たまにすごく嫌な言い方をするお客様がいて、お手伝い偉いねと言うんです。本気で戻ってきて人生をかけているのに馬鹿にされているし、癪に触るのですが、一人の人が言うということは、何十人の人に思われているのでは、と不安に思ったのです。 大阪から戻って来る時から、家業を継ぐという覚悟を決めていたので、父が一生社長で、私が還暦とかで事業を継ぐのは嫌だと母に泣いて言ったのです。 他社でも同世代から事業継承の封書が届く時期でした。うちも株式会社なので、継承の時期ってあると思いますので、次がやる気がある間に代わって欲しいと、母から父へ頼んでくれて、父もわかったと納得してくれて、私が代表になりました。 お姉ちゃんが頑張るならと次女と一緒に二人三脚で、三女は今どきのシティガールでヒルトンで料理を作っていたのですが、数年前に戻ってきてくれました。人件費が払えるのかと思いましたが、今は誰よりも結構やる気でがんばってくれています。 いつも三姉妹でどうしたら三益は良くなるか同じ方向性でしっかりと話し合うことができています。三姉妹は三本の矢でそれぞれの役割で行っているのが良いのかもしれません。

三本あれば折れませんしね!素晴らしい話をありがとうございます。お父様から事業を引き継がれて、これからの展望とか、自分の経験からの後人の方へのアドバイスがあれば教えてください。

東海林さん:今、お酒の消費量が下がってきているのです。若い人がお酒を飲まなくなってきているからです。だから発酵食品とか子供でも食べることのできるお味噌とか、お醤油とかも発酵なのでそれを自分たちが勉強しようと思っています。 第二、第四木曜日にここで北区の助成金を活用して子供食堂をやっています。昔は〇〇屋というのがいっぱいあったと思うのですが、鍵を忘れると隣のおもちゃ屋さんに行って電話を借りるということがありました。でも今はそのようなことがない時代なので、子供もお年寄りも楽しめる酒屋にしたいなと思います。だからこそ子供食堂とかをしています。あと地域のシンボルのようなお店にしたいと思います。

子供もお年寄りもくつろげる場づくりを心がけているのですね。今回女性の継承者の方へのメディアなのですが、女性だから良かったこと、悪かったこと、こうしたら良いなどのアドバイスはありますか

東海林さん:父親とのバトルがすごすぎて、他はかすみます。重たい物が大変だとか、それぐらいでしょうか。振り返ってみれば大変だったこともありますが、事業を継いだ今が楽しいので良かったと思います。

今すごくキラキラされているので、ご苦労もあると思いますが毎日がすごく楽しいご経験をされているのだろうと思います。 最後にこれだけは伝えたいということはありますか?

東海林さん:これだけはというとわからないですが、後を継ぎたい人がこれから増えてほしいと思います。地酒専門店は地酒をつくっているわけではないですから、生産者の人の話を聞いて、その思いを買い手に伝えるというのが大事だと思います。 自分もそうですが小売店が元気でいる良いなと思います。

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